

「人参を一本、最初から最後まで違う表情で味わう」 La Stregaの秋のコース
La Strega ― 人参と、前に進む夜 ローマの夜。 La Stregaの窓の向こうには、秋の風に揺れる街路樹が見えていた。 今夜やって来たのは、二人の男性。 一人は山登りが趣味だった。 春になれば山菜を探し、 蕗の薹、ワラビ、タラの芽を採りに山へ入る。 もう一人は魚釣りが好きだった。 休日になれば海へ出て、 自分で釣った魚を捌き、料理する。 二人とも自然の中にいる時間が好きだった。 けれど最近、共通して考えていることがあった。 「そろそろ、人生も少し変えないとな」 そんな二人の前に、今夜最初の一皿が運ばれてきた。 🎼第一皿 ― 生の人参(三色) 細く削ったオレンジ、黄色、紫の人参。 (紫の人参とは、表皮や中身が紫色をした人参のこと。 アントシアニンという色素を含み、一般的なオレンジ色の人参よりも、 少し土っぽく深みのある甘さを感じることがあります) レモン、オリーブオイル、ほんの少しの蜂蜜。 上には砕いたピスタチオと若いハーブが散らされている。 山好きの男が一本つまんだ。 「人参って、生だとうまいんだな」 ポリッ。 瑞々しい音がした。.
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2 時間前


それでも次の扉
ローマの夜。 La Strega の扉を開けると、磨かれた銀のカトラリーとムラーノガラスが、 蝋燭の光を細かく返していた。 今夜は、いつもより少し特別なコースだった。 窓際の席には、長い付き合いらしい二人の客が座っている。 🎼最初に運ばれてきたのは、キャビアを添えた帆立のタルタル。 ホタテは縦と横の切り方で食感がかわります その上には薄く削った白トリュフ。 金色の小さなスプーンで口に運ぶと、 海の甘みのあとからトリュフの香りが静かに広がった。 「最近さ、思うんだ。」 一人がグラスを置いた。 「何かを始めようとすると、 必ず理由が出てくるんだよ。 もう若くないとか、お金がかかるとか、 失敗したらどうするとか。」 「まあ、全部もっともな理由だな。」 「そう。だから厄介なんだ。」 二人は笑った。 🎼次に運ばれてきたのは、 オマール海老とポルチーニの手打ちパスタ。 濃厚な甲殻類のソースに、ほんの少しサフラン。 皿の縁には金色の飾りが入り、まるで絵画のようだった。 「でもね。」 男はフォークを置いた。 「それでも前に進みたいと思うんだ。」 「何
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10 時間前


北海道の秋(ササゲ)/10月のローマ
夕暮れが早くなり、石畳を渡る風にも、ようやく秋の匂いが混じり始めていた。 La Stregaの扉を開けたのは、二人の男性だった。 「ここの北海道料理、ちょっと評判になってるらしいよ」 「ローマまで来て北海道料理なんてね。珍しいな」 二人は噂を聞いて、10月から始まった 🎼「北海道・秋の味覚コース」🎼を予約していた。 白いクロスのテーブルに案内されると、 メニューを開いた一人が、さっそく首を傾げた。 「ササゲって、何だ?」 「俺も知らない。それより、これ。ウワバミソウって……何なんだ?」 支配人が微笑んだ。 「ササゲは山菜ではなく、豆の仲間です。 北海道でも栽培されます。 ウワバミソウは山菜で、 日本では『ミズ』とも呼ばれています。 沢沿いのような水気の多いところに育つんですよ」 「へえ。ミズという名前の山菜か」 「ローマじゃ、まず聞かない名前だな」 最初に運ばれてきたのは、北海道の落葉きのこの温かな前菜。 艶のあるきのこから立つ森の香りに、オリーブオイルとハーブの香りが重なる。 「北海道の料理なのに、ちゃんとLa Stregaの皿になってる」
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5 日前





















